へら鮒天国TOP > 特集・記事一覧 > 稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第65回 小山圭造の超ヤワネバダンゴの速攻チョーチン釣り


新エサ『カルネバ』が、発売直後から大きな反響を呼んでいる。従来製品とは一線を画する軽さとネバリが、早くも多くのアングラーの心を鷲づかみにしているようだ。とりわけ両ダンゴファンにとっては待ちに待った本格的なダンゴシーズンの到来と共に、新たな両ダンゴワールドの幕開けに大きな期待をもって受け入れられている。今回登場いただくマルキユーチーフインストラクター小山圭造もそのひとり。新エサの開発に関わり、自身ヤワネバタッチの両ダンゴ釣りを得意とする氏にとっては、『カルネバ』の発売は我が子を独り立ちさせたような感慨と共に、両ダンゴ釣りの新たな可能性についても大きな期待を寄せている。今回は新エサ『カルネバ』の真の姿、秘められたポテンシャルを是非見ていただこうと、ひと足先に伊豆修善寺の早霧湖に乗り込んで、実戦的なチョーチン両ダンゴ釣りを披露してくれた訳だが、驚きの超ヤワネバダンゴを駆使して釣り込む氏の釣技は、『カルネバ』実戦活用術として必見の価値ありだ!  
   
釣れるエサの傾向は確かにある。それは1〜2年という短い周期で変わるものではないが、記者の過去の釣行記録を紐解いてみると、傾向のピークが見られるのは概ね7〜8年周期のように感じられる。記者が本格的にへら鮒釣りに関わるようになった頃は、現在のような軽めのヤワネバタッチのエサ使いが主流であり、当時ビギナ―の記者にはとても扱いきれるシロモノではなく、そうしたタッチのエサを作ろうとしてもできなかったというのが正直なところである。そして満足に釣れぬままに時は過ぎ、エサの傾向はその後重めのネバボソタッチ→軽めのカタボソタッチ→軽めのネバボソタッチと変わり、近年は再びヤワネバタッチをメインとしたエサ使いが主流となっているのだが、ここ数年はさらにボソの効いたヤワネバから超ネバボソまでその幅が広がっているように感じるのは記者だけだろうか?小山の見解はこうだ。
「確かにダンゴエサには良く釣れるタッチというものがありますが、初めから決め打ちすることはお勧めできません。あくまで基本はエサの特性を生かしたブレンドで構成された基エサを、その日そのときの状況に合わせながらベストのタッチを探り当てることであり、これこそが両ダンゴ釣りの醍醐味じゃないですか。『カルネバ』もそうした傾向に合わせた新エサですが それにしても良いエサが出来ましたね。実は軽さとネバリを両立させることは難しく、従来軽いけれどネバリを出しきれなかったり、ネバリを出そうとすると重くなり過ぎてしまったりすることもあったのですが、この『カルネバ』の登場でそうした悩みから解放されるかもしれませんね。もちろん僕の得意な速攻の釣りにも、さらに磨きがかかると思いますよ(笑)。」
自信満々にこう語る小山だが、今回実戦で見せてくれたのは、氏が最も得意とする浅ダナ両ダンゴ釣りではなく、意外にも16尺(後に12尺)という中尺竿を使ってのチョーチン両ダンゴ釣りであった。ご存知の読者諸兄も多いと思うが、24尺、場合によっては27尺以上の超長竿もいとわない小山の釣りは決してへら鮒任せの釣りではなく、自ら仕掛けながらとにかく少しでも早くエサを食わせることを命題とした狢攻瓩猟爐蠅鮨条としており、それはどのような釣り方においても変わることはない。
「単に早いアタリに手を出していたのでは空振りやスレばかりになってしまう恐れがありますが、色々と工夫を凝らしながら他人よりも早い食いアタリを出せれば楽しいじゃないですか。僕はそんな釣り方が好きですし、それには軽くてネバる特性を持ったエサは必要不可欠なんです。」
一旦竿を握れば周りが止めない限り、決してやめようとは言わない氏のへら鮒釣りに対する熱意とバイタリティーは未だ衰えを知らず、今回の取材時も帰りの道路の混雑が気になり始めた終盤戦、この日初めてダブルで釣れたのを機に取材終了を告げるまでひたすら竿を振り続けた小山。新エサの開発に深く関わり、そんな氏の熱い思いが込められた『カルネバ』の、実戦ならではの活用術を早速紹介することにしよう。




     

 
 
 
深めのタナの方が、良型が多いだろうと判断した小山は、竿を出した釣り座ではほぼ底に近い16尺でスタート。前述のレシピで仕上げたエサを直径15mmほどの水滴型に整えると、ほとんど圧を加えずにそのまま打ち込み実釣を開始した。まずはこのようにエアーを含んだボソタッチの軽いエサをテンポ良く打ち込んでいく。両ダンゴの釣りでは仮に釣れそうなタッチが分かっていたとしても、この方がへら鮒の寄りが良くアタリ出しも早いと小山は言う。
軽いエサはへら鮒がまだ寄っていない状態ではウキのトップのナジミ幅は少ないが、次第に寄りが増してくると徐々にナジミ幅が大きくなってくる。これはエサがへら鮒が起こす水流によってタナに引き込まれるからだと言うが、間もなく目に見えてウケる時間が長くなると、直後にナジミ際にアタリが出始めた。そして小さいながらも鋭いストロークのアタリを捉えると早々にファーストヒットを決めた小山。 その後も毎投ウケを出すことを意識しながら、速いアタリで良型を仕留めていったのだが、へら鮒の寄りが増すに従いカラツンが目立ち始めるとペースダウンを余儀なくされる。ここでの対処法はまずエサ付けサイズをひと回り小さくして凌ぎ、それでも改善されなくなると少量の手水を振りかけ、練らずに数回大きくかき混ぜただけの手直しでヒット率をキープ。このように練り込まずに使うことも『カルネバ』活用術のポイントだと小山は言う。もちろん練ってもそのポテンシャルが大きく損なわれることはないのだが、ブレンドしたそれぞれの麩材の特性を活かしきるにはこうした点にも注意したい。 このときのヒットパターンは、ウキが立ち上がった直後に適度なウケが見られ、そこからゆっくりナジミに入った直後にカチッと鋭く決めるか、そこでアタリが出ないときにはトップ2〜3目盛りまで深くナジんだ直後にズバッと豪快に消し込むものであった。しかし春先のへら鮒は勇みやすく、やがて麩エサに対する強烈な興味がピークに達するとトップのナジミ幅がほとんど見られなくなり、ウケた直後に静止したまま食ったり、水面にボディが出るような戻しアタリ(上げアタリ)でヒットするようになる。すると次第に下方向に入るアタリが見られなくなり、一時カウントがまったく伸びなくなってしまった。
そこで小山はエサのナジミを良くする手立てとして、オモリ負荷量はほぼ同程度ながらやや太めのPCムクトップが装着されたウキに交換した。すると明らかにウケる時間が短くなり、下方向へのアタリが復活したのだ。このときエサを重くしてナジませる方法もあったが、それまでのアタリの出方からあくまでエサの自然落下中に食わせる方が得策と判断した小山は、食うタッチが分かった時点でエサには手を加えず、ウキの交換のみで状況を好転させたのであった。 ここでのポイントはもちろんPCムクトップ仕様のウキであるが、交換時にオモリ負荷量を大きく変えなかったことも、比較的短時間に時合いの復活につながった要因のひとつであることを見逃してはならない。 エサ・タックル・アプローチがマッチしてからは大きく崩れることなく良型の引きを楽しんでいた小山であったが、状況が一変したのは風向きが正面(北寄り)に変わり、ウキが流され始めたときだった。それまで毎投見られたウケが出なくなり、変化なくナジみきったウキからは生命反応が明らかに減少した。そこで小山は再びパイプトップ仕様のウキに戻し、タックルの特性によってウケを出そうと試みる。すると一時は無反応を決め込んでいたへら鮒がエサの動きに興味を示し始め、再びウキが動き始めたのである。
そして最後は更なるペースアップを図ろうと、最もストレスなく釣れそうな12尺一杯のタナを攻めるべく素早く竿を交換すると、16尺のときとほぼ同じエサ使い・エサ合わせのプロセスを踏みながら時合いをつかみ、最後は連続ヒットにダブルまで決めてこの日の釣りを締め括った。既にお気づきのこととは思うが、一日の釣りを追ってみるといくつかのターニングポイントがあったことが分かる。次はそのポイントについてさらに詳しく見てみよう。

狢攻の小山瓩琉枳召鬚箸觧瓩猟爐螢好織ぅ襪瞭団Г蓮標準よりも軽く小さなエサを高速回転で打ち込み、ウキのナジミ際の早いタイミングで食わせること。そのためエサの軽さは無くてはならない必須条件であり、氏の釣りを支えるまさに命綱なのである。今回はチョーチン釣りでの速い釣りを目指し、新エサ『カルネバ』ブレンドのダンゴエサを軸に釣りを組み立ててもらった訳だが、そのポイントについて小山はこう解説してくれた。
「僕の場合、無理をして速い釣りをしている訳ではなく、へら鮒が警戒せずに安心してエサを食うタイミングがハリスが張りきる前の弛んだ状態、すなわちエサが自然落下している間がヒットチャンスとして最も適していると考え、そのベストのタイミングを狙っているので自然と速い釣りになってしまうのです。そのために必要な要素を挙げると、まず重要なのが自然落下状態に装える軽いエサであること。さらにヒットチャンスを長い時間確保するために、やや長めのハリスを基本とすること。このときタックル全体の沈下速度が遅過ぎると途中でエサが捕まってしまうので、ウキはオモリ負荷量の大きめなもので一気にタナまで送り込んだ後、長めのハリスでゆっくりエサを追わせてやることが肝心です。 へら鮒がエサを追えているか否かを判断するのは、ウキが立ち上がった直後のウケ・トメの動きです。ここでウケさせないとすんなりウキがナジミきってしまうことが多く、トップの付け根付近からエサ落ち目盛りを通過する辺りの速いタイミングでのアタリは期待できません。もちろんエサの軽さだけではウケを出し続けることは不可能ですので、ウキを軸としたタックル全体のバランスを整えることが重要です。僕のチョーチン釣りでは、このウケが出しやすいパイプトップウキを使うことが基本で、ウケが出続ける限り回転の速い釣りを目指します。ただし寄りが多過ぎてウキがナジみにくいときや、極端なウワズリによってエサがタナに入らなくなってしまったときには、PCムクトップウキに交換してエサをナジみやすくします。 またいずれのケースにおいても苦労するのが、へら鮒が寄ったときのエサ持ちをいかに保つかということ。基本的にはエサにネバリを加えて持つようにするのですが、その際軽さを維持しながらネバリを強めるのは意外に難しく、僕らでもかなり慎重かつ丁寧なエサ合わせを強いられることがあるので、これが初中級者であったと考えると、その苦労は並大抵なものではないことが容易に想像できますね。だからこそ新エサの開発が急務であった訳ですが、『カルネバ』は単に素材が軽いというだけではなく、麩材の粒子間に十分エアーが入り込んだ状態でもエサの芯がしっかりしているので、無理に練ることもなくタナまでエサを持たせることができ、今まで以上に軽く持ちの良いエサで時合いを維持することができるでしょう。」
 
 
小山の実釣をつぶさに見ていると、ヒットするアタリのパターンが概ねふたつに大別できることが分かる。ひとつめは狢攻の小山瓩理想とする、エサ落ち目盛りを通過する前後で出る小さくも鋭いアタリ。そしてふたつめが、ほぼナジミきったところで出る問答無用の消し込みアタリ。実はこのふたつのアタリ、関連性がない別のアタリではなく、速いタイミングで食わせきれなかったもの(食いはぐれたものともいえる)をエサの踏ん張りでヒットチャンスをつなぎ止め、自然落下するエサの動きが止まるまで食わせることができることを物語っている。もちろんそれには『カルネバ』の特性である、エサ持ちの良さがあってのことだと容易に理解できよう。
「重いエサや無理にネバリを出した開き(膨らみ)の悪いエサでは、速いタイミングでスルーされてしまうと、その投でアタリを出すことは困難です。しかし『カルネバ』ブレンドのエサであれば、無理に練り込まずにギリギリまで軟らかくしても、適度に開きながら確実に芯を残すことができるので、アタりそうでアタらなかった投でもナジミきる瞬間までヒットチャンスが広がり、さらに食いが良いときであればウキの戻し際にもチャンスがあるのです。いわば二枚腰のようなネバリですね。」
従来のエサではウキが立った直後に無理にウケを出そうとすると、ナジミ際までエサを持たせるだけで精一杯となってしまい、ここで食わせられなければそれで終わりというケースが多かった。ところが新次元の軽さとネバリを持つ『カルネバ』の登場で従来のパターンが崩れ(良い意味で)、あきらめて打ち返さなくてはならない投が激減するだろうと小山は言う。この言葉を裏付けるように、アタリそうでアタらずにナジミきってしまったときや、既にエサが持っていないであろうと思われるタイミングで食ったケースが何度も見られた。

 
 
 
  深いタナを攻めるチョーチン釣りでは、いかに食い頃のエサをタナに送り込めるかで勝負が決まると言っても過言ではない。実際釣れる人とそうでない人とのエサの違いは極わずかなものであり、あと一歩のところまで来ているのにギリギリのところで持つか持たないかで明暗が分かれているのが実状だ。
「へら鮒の食いが旺盛であればどんなタッチのエサでも釣れますが、へら鮒の食い気がいつも良いとは限らないので、やはり軟らかいダンゴエサを使いこなせる技術は身につけておきたいものです。その際エサを持たせて食わせるためには、やはり軽さとネバリが重要です。とはいえ、極端にネ バリを強くしたり硬くしたりしたエサであれば持つかもしれませんが、そうしたエサではたとえタナまで持ったとしても食いきれない可能性が高いことは明白です。僕のエサは標準的なものよりも軟らかめだと言われますが、今日のように『カルネバ』を使うとさらに簡単に軟らかいエサが持たせられるようになるので、皆さんにも是非一度試してもらいたいですね。きっとワンランク上の軟らかいエサが使えるようになり、必ずや釣果アップにつながると思いますよ。」
 
     

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