「かかり釣り」って、どんなの?
筏やカセ(小舟)に乗っての「かかり釣り」。短竿を使ってのスリリングなやり取り、ダンゴの中に付けエサを仕込む独特のスタイル、海底でダンゴが割れ、付けエサをついばむ繊細なアタリを取る真剣勝負……。チヌはもちろん、グレ、マダイ、カサゴ、ベラ、カワハギ、キス、アジ、タコ……と色々な魚と出逢えるのも、このかかり釣りならではの魅力です。これを読みながら、基本のキから覚えていきましょう!
筏・カセからのかかり釣り
かかり釣りは一番人気のチヌのほかにもグレやマダイ、カサゴ、カワハギ……と多彩な魚が釣れます。魚種を絞って狙うのはもちろん、五目釣りが楽しめるのも魅力です。
●釣れるお魚たち
クロダイ・チヌ
メジナ・グレ
マダイ
カサゴ
アジ
カワハギ
食べないように!
毒があるので持ち帰らずに逃がしましょう
フグ類
キタマクラ
触らないように!
ヒレや尾に毒バリがあるので魚体に触れずに逃がしましょう
ゴンズイ
アイゴ
ハオコゼ
●釣れる場所
釣り場は沖に浮かんだ筏やカセ。港から船で渡してもらったり、沖へ引いてもらったカセに乗って釣りをします。普段からダンゴなど釣りエサがまかれているので、筏やカセが浮いている真下は魚の着き場。ここへダンゴを落とし込み、魚を寄せて釣るのが最も基本的なパターンです。
●釣り方
釣りエサの付け方
魚の反応に合わせて付けエサを替えます。単品のほかミックスも効果的。
アワセ方
アタリがあったら竿を大きくあおってアワせましょう。竿がとても短いので、肩から腕全体を使って大きく振り上げるイメージです。
アタリの出方
竿先がツンツン……と動いたあと、小さくスーッと曲がる
アタリの出方
竿先がツンツン……と動いたあと、小さくスーッと曲がる
かかり釣りの水中イメージ
ダンゴを投入して海底まで沈める
海底に着いたダンゴが溶けていき、割れる
中から出てきた付けエサに食いつく!
●必要な道具例チェックリスト
釣り道具・釣り用品
用品
※あると便利なもの
●仕掛け例
ハリへの結び方
かかり釣りでは、道糸を直接ハリに結んで使います。しっかり結んでおかないと、いざ大物が掛かったときにほどけたり……。現場できっちり結べるようになるまで、あらかじめ練習しておきましょう。
ハリスとハリの結び方例
●釣りエサの使い方
ダンゴエサ
「パワーダンゴチヌ」1袋に海水750ccを加えます。
水分が均一にいきわたるよう、ていねいに混ぜ合わせます。
できあがりです。
ダンゴをつかみ取り、真ん中に指を入れて穴を開けます。
穴にオキアミなどの付けエサを入れます。
ダンゴをキレイに丸めます。
「パワーダンゴチヌ」1袋に海水750ccを加えます。
水分が均一にいきわたるよう、ていねいに混ぜ合わせます。
できあがりです。
ダンゴをつかみ取り、真ん中に指を入れて穴を開けます。
穴にオキアミなどの付けエサを入れます。
ダンゴをキレイに丸めます。
ダンゴに集魚力を高めるエサをブレンドすると、魚を寄せる効果がさらにアップします。少しずつ足して使いましょう。
ダンゴを作るときは手のひらと指で丸く包み込み、均等に力を加えるとキレイに仕上がります。このとき小指は使わないのがコツです。
ダンゴを作るときは手のひらと指で丸く包み込み、均等に力を加えるとキレイに仕上がります。このとき小指は使わないのがコツです。
※釣り場はきれいに、自然を守りましょう。※釣り場の禁止事項を守りましょう。※安全のためライフジャケットを着用しましょう。
ここからは、かかり釣りに初めて挑戦した筆者の体験レポートをお届けしましょう。
釣行当日は同行いただいた経験者(先生)に教わり、まずは釣り座の準備から。これができたら、まずはダンゴ作りを始めます。「テキトーに丸めりゃいいんでしょ」と思ったら、これが大間違い。ダンゴがうまくまとまらず、かなりムズカシイ。
かかり釣りのシステムは?
筏やカセに乗るときは、それらを管理する渡船屋さんへ予約が必要です。天候や波などの条件によって前日に出船が決まるケースが多いので、ホームページや電話で確認して予約を入れましょう。
ただ経験者に教われば、きっとできるのでご心配なく。最初はとにかくたくさん作って、体で覚えるのが一番ですよ。
キレイに丸くできあがったら、これを足元近くにドボン。あらかじめ何個か作っておき、同じ場所に投入しましょう。
こうして海底に魚のエサ場を仕込んだら、ひとまず第一段階はクリアです。
道具の準備は玉網から!
筏やカセに乗ったら、まずは玉網をセットしましょう。不意に何か落としてしまったときなど、すくって回収できるのが理由です。
筏やカセに乗ったら、まずは玉網をセットしましょう。不意に何か落としてしまったときなど、すくって回収できるのが理由です。
道具の配置はスマートに!
釣りを始める前に大事なのが、釣り座のセッティング。クーラーボックス、タックル、エサ、手洗いバケツ、玉網……と、すぐ手に取れるように配置しましょう。やってみればわかる通り、きっちりできていないと釣りが始まりませんよ。
ダンゴ作りが勝負を決める
さて、お次はハリに付けエサを付け、それを中に仕込んだダンゴを投入。先ほど底に作ったエサ場へ入るように打ち込みます。
沈めていったダンゴが着底したあとも、重みが竿を通じて感じられるはず。その間にダンゴは崩れていき、水中でどんどん広がって魚を寄せます。
冷凍のアミエビやさなぎのミンチは海水で溶かす
ダンゴに加えて使うアミエビやオキアミ、さなぎのミンチは、あらかじめ解凍しておきましょう。海水をくんだバケツに袋ごと入れておけばOKです。
そしてダンゴが割れると、中の付けエサがこんにちは! ダンゴの重みがなくなってテンションがフッと抜けたら、そこからが勝負。竿先をよ~く見て、アタリがあったら即アワセを入れてヒット~!!
……となるのが理想ですが、最初からそううまくはいきませんでした。
ダンゴがなかなか割れない→硬く握りすぎたのが原因。握る回数を減らすなど調整しながら練習しましょう。ほどよい硬さに作るには慣れと経験が必要です。
竿先の変化がわからない→アタリは竿先がツンツンと動く程度。竿をできるだけ動かさず、先をじ~っと見ましょう。
手はできるだけキレイに保ちましょう。エサが付いているとダンゴがうまく握れないし、タックルもベタベタに……
竿先は超繊細、扱いはていねいに
かかり釣り用の竿は、ごくごく繊細。無理な力が掛かると折れやすいので、慎重に扱いましょう。ラインがガイドに絡むことが多くあるので、注意しましょう!!
そして初ヒット!……魚の正体は?
先生の動作をマネをしているうちに、ここまでの一連はどうにかこうにか、こなせるようになってきました。
付けエサ入りのダンゴを投入し、底で割れてから竿先を見ることしばし。竿先がピクピク、スーッ……ついにきました!
腕を思い切り振り上げてアワセを入れると、魚の引きがグングン! 短竿なのでとてもスリリングですが、ここでムズカシイのが道糸調節。人差し指をスプールに当てて軽くテンションを掛けないと、道糸が一気に出てグシャグシャになるんです。
魚が掛かったときも、人差し指をスプールに当てて道糸の出具合を調節しましょう。うまくできない筆者は、この通りグシャグシャに
片軸リールのセットと使い方
リールはかかり釣り専用の片軸タイプで、下向きがおすすめ。操作がしやすく手返しもいいのが理由です。なおドラグは付いていないので、道糸の出し入れや魚とやり取りするときはスプールに人差し指を添えてテンションを調節しましょう。
それでもどうにか手前に寄せ、魚がついに玉網へ収まりました。その正体は25cmほどのグレ。竿が短い分だけ引きが強烈に感じられて、これは楽しい!
ちなみに先生は、見事に49cmのチヌをキャッチ。このあたりは、やっぱり経験と腕の差でしょう。
自分はそのあとアイゴ1と巨ボラのバラシ1という結果でしたが、とにかく引きを存分に楽しめました。どうにかアタリもわかるようになったことだし、次回はチヌかマダイあたりを……!
これを読んでいるあなたも、かかり釣りにぜひチャレンジしてみてください。それでは、みなさまのご健闘を心からお祈りしています!
かかり釣りのエサと使い分け
ベースエサの選び方
ダンゴには「付けエサを海底まで届ける」「魚を寄せる」「付けエサを守る(エサ取りから)」という三つの役割があります。まずは基本となる単品からダンゴを使ってみましょう。
●パワーダンゴチヌ
単品で使えるダンゴエサ。2分包なので分けて使用可能。
●ニュー赤だんごチヌ
沈下が速いので深場や急流も探りやすい速効タイプ。
●速釣ダンゴ
開封すればすぐに使えるダンゴエサ。
●パワーダンゴチヌ
単品で使えるダンゴエサ。2分包なので分けて使用可能。
●ニュー赤だんごチヌ
沈下が速いので深場や急流も探りやすい速効タイプ。
●速釣ダンゴ
開封すればすぐに使えるダンゴエサ。
●大チヌスペシャルハイパー
さなぎ+アミノ酸で集魚力抜群!
●本筏チヌ
握り加減で、割れるタイミングを調整可能。
●コーンダンゴチヌ
付けエサのコーンとマッチ。
ブレンドエサの選び方
ベースとなるダンゴに加えて使うのがブレンドエサ。ごく大まかに分けると、味やニオイで寄せる「高集魚系」、沈むスピードや重さ、ネバリ・バラケ性を変える「調節系」、濁りを強めて誘う「濁り系」があります。
●激重ペレット
●荒びきさなぎ
●メガミックスチヌ
●速戦爆寄せダンゴ
●チヌスパイス
●大物にこれだ!!
●チヌにこれだ!!
●ニュー活さなぎミンチ
●ニュー活さなぎミンチ激荒
●紀州マッハ攻め深場
●チヌパワー
●濁りオカラ
●オカラだんご
付けエサの選び方
ダンゴの中に仕込む付けエサは、シーズンや条件によって魚の食いに差が出ます。下の表を参考に、反応が良い付けエサと、それに見合った大きさのハリを使い分けましょう。
付けエサ | オキアミ、コーン | コーン、さなぎ |
季節 | 春~初夏 | 夏~晩秋 |
魚の活性 | 低い | 高い |
エサ取り | 少ない | 多い |
ハリサイズ | 2~4号 | 3~5号 |
●くわせオキアミスーパーハード
●くわせオキアミスペシャル
●ニューくわせコーン
●活丸さなぎ
●くわせオキアミスーパーハード
●くわせオキアミスペシャル
●ニューくわせコーン
●活丸さなぎ
配合エサの袋は風下で開けるよう心掛けましょう。粉が舞って、周りの人へ掛かるのを防げます。また空き袋は縛っておくと風で飛ばされずに済みますよ。
チヌをはじめ魚は筏やカセの下に着きやすいので、騒いだりドタバタと物音を立てるのはアウト。魚が警戒するし周りの迷惑にもなるので、お静かに。
筏もカセも、釣りを終えたらゴミを必ず持ち帰りましょう。筏の場合は、バケツに海水をくんで汚れを洗い流しておくのがマナーです。