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MARUKYU エコレポート
「速釣ダンゴ」開発秘話

 2019年1月、プロジェクトチームよりクロダイ(チヌ)釣り用のダンゴエサ「チヌジャンボ」をリニューアルするようにとのミッションが下りました。このエサは1987年4月に発売されてから長年に渡って販売されてきた製品です。私が入社した時にはすでに存在していて、とにかく“でかいエサ”という印象でした。時が経過し、新製品が次々と発売されるなか、このエサも性能が徐々に今の釣り方に合わなくなってしまったようです。
 数ある製品群のなかで、「チヌジャンボ」をどのようにリニューアルするのか?その答えが出ないまま4か月経過してしまいました。

 そして、運命ともいえる日が来ました。
 関西方面へ釣りのテストに出向いた際、悪天候によりテストを1日ずらさなければならなくなり、1日大阪市内に滞在することになったのです。こういったことは自然相手の釣りの場合、起きてしまうことが時々あります。安全第一ですので仕方がありません。大阪支店の車を借りて一人市内の釣具店を訪問することにしました。そして、お店に並べられた数あるエサの中で、一つ完売になっていた箇所を見つけ、お店の方に聞いてみるとそのエサだけがそのまま握れる唯一のウェットエサであったことが分かったのです。
 これまでチヌ釣り用のダンゴエサは、適量な水を加えてその場に合わせたエサに仕上げ、ウキダンゴ釣りやかかり釣りに用いるのが定番とされていましたが、それでは対応できないお客様がいらっしゃるということでした。そして、あまりにも量が多いと敬遠してしまうお客様も昨今見られてきているということも分かりました。もはや“ジャンボ”は通用しない時代になってきているようです。

 早速、関西から戻り“握りやすさ”“量目”を意識して開発に取り組みました。エサを握ったことがない社員に握りやすさの確認をしたり、実際にダンゴ釣りの経験がほとんどない社員に釣り場で使ってもらいヒアリングしたりと、これまで行ってきた開発方法とは少し違った形で進めました。量目については扱いやすい包装形態とセットで考えました。最初は箱エサを検討しましたが、試行錯誤の結果、スタンディング袋でそのまま開封して使える包装形態にしたらどうかという話になり、包材における市場調査もおこないました。
 こうしてプロジェクトチームと生産部の協力もあってオリジナルスタンディング袋の形態に仕上げました。さらに、使っていくにしたがい、エサの量が減っていくと扱いにくくなることから、途中で袋を切り取れるようなノッチを設けて使いやすさに工夫も施しました。
 こうして新しい形にリニューアルされた「チヌジャンボ」は、「速釣ダンゴ」というネーミングで2020年7月に生まれ変わりました。

 つい先日、お店を訪れた際に「速釣ダンゴ」を手にして会話をしているご夫婦を見かけました。その時、“水を加えなくて握れるよ”“量がそれほど多くなくてちょうどいいんじゃない”という会話が聞こえてきました。私には神の声にも聞こえました。
 その時、会社で進めていたことが正解であったことを実感したのを今も鮮明に覚えています。

 「答えは現場にある」をモットーに、これからもお客様の気持ちになったエサの開発に取り組んでいこうと思っています。

▲開発初期 筏の上で製品を立たせ、使用感をチェック
▲開発中期 試行錯誤の末に出来上がったプロトタイプ
▲開発中期 ダンゴ釣り未経験者による握りやすさのテスト
▲パッケージには、❶使い始めと❷中身が減ってからの2か所に切り口を設けている

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