つれるエサづくり一筋、マルキユー株式会社
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MARUKYU エコレポート
21世紀の「釣りエサづくり」

 21世紀における持続可能な循環型社会と地球環境保全をめざした釣り文化を創造するための「釣りエサづくり」においても、創業の原点に立ち返り、人類史的視点から共生の思想と釣り文化を見直すことも重要であろう。
 いま、戦後最大の大不況の中で、釣り業界にも深刻な影響を及ぼしつつある。
 例えは、釣り人口の減少(平成10年2,020万人から平成13年1,690万人)、滋賀県、新潟県の外来魚 (ブルーギル、ブラックバスなど)の資源抑制のための「リリース禁止」問題、先の国会で成立した「遊漁船業の適正化に関する法律の一部改正する法律」6月19日公布、平成15年4月1日施行によるコマセ(まきえ)問題、曳縄釣り=トローリングの禁止、体長制限、採捕禁止区域制限などで罰則も強化される。
 このようなときにこそ、釣り文化の原点に立ち返り、環境の21世紀にふさわしい釣り文化を創造するべく、三極図によって次のことを示した。

1・いま、海に何が起こっているのか(図-1)
2・環境の21世紀/未来の海を豊かに美しく(図-2)
3・釣り文化の創造(図-3)
4・循環型社会をめざす釣りエサ文化の創造
5・磯焼けの現状(図-5)
6・磯焼け対策とエサづくり(図-6)

1・いま、海に何が起こっているのか


1・いま、海に何が起こっているのか(図-1) 太陽系惑星の1つである地球の表面積の71%を占める海に、いま何が起こっているのであろうか。
 わが国の漁獲量は、1990年(平成2年)1,035万トンから2000年(平成12年)639万トンと10年間に約48%漁獲量が減少しつつある。
 その理由としては、第一に資源量に対する過剰操業による乱獲、第二に海藻類の激減、すなわち、全国的な磯焼け現象の拡大、第三に地球温暖化などによるサンゴの白化現象(死滅)などがあげられる。
 次に、海の汚染および河川湖沼の汚染があげられる。例えば、産業廃水、生活廃水、プラスチック公害、養殖業の連作障害としての自家汚染(魚)、漁場老化(貝類)、タンカー事故、赤土流出、農薬汚染、環境ホルモン、赤潮、生物濃縮などがあげられる。
 また、過剰な国土開発としての道路、護岸工事、海中道路などによる潮流変化、藻場の喪失などをあげることができる。
 さらに、森林の伐採による保水力の低下、技術的に問題のある農地改良などによる大雨や台風時の赤土の流出による光合成能力を失った藻場やサンゴの死滅が拡大した。
 また、干潟やサンゴ礁、沿岸の埋め立ては海の生態系を破壊しつつある。
 21世紀は、持続的生産や循環型社会といわれながら、すべての生物産業の基礎である植物なかでも藻場は、急速にわが国沿岸から姿を消しつつある。
 はだか山には鳥・けものが住めないように海の砂漠(磯焼け)には、魚介類は住めない。
 いま、海は病み、蘇生を求めている。

2・環境の21世紀 未来の海を豊かに美しく


2・環境の21世紀/未来の海を豊かに美しく(図-2) 陸は0.5mを耕すが海は水深70mまで耕すことができる。人類500万年の長い採集経済の中で、1万年前に耕すことによって人類は定着生活をはじめ、村から町へ、そして都会をつくり今日の文化生活を営むことができた。
 「海を耕す」とは、海の森づくりを行い、資源調査による許容漁獲量を定め、計画的に漁獲することである。また、これまでのとる漁業から栽培漁業へと大転換することである。
 地球サミットにおいては「地球環境と持続可能な開発」が課題となったが、その実現は人類社会のたゆまざる環境保全への政治・経済・科学技術へのたゆまざる努力によって実現可能となろう。
 21世紀の目標は「環境の世紀」と明確に位置づけられている今日、未来の海を豊かにそして美しく持続することは人類として義務でもある。
 海の森づくりは、水産資源そのものを豊かにし、食料、工業原料、水質浄化、エネルギーの他、地球温暖化対策としても熱帯雨林以上の二酸化炭素の吸収、効果がある。
 一方、海や河川湖沼の汚染防止のための前述した産業廃水公害をはじめ10の公害防止対策に努力することはいうまでもない。
 海岸開発、農地造成などに伴う人工海岸の造成や海の汚染により、各地での稚魚の成育に重要な役割を担う藻場、サンゴ礁が減少するとともに、生育環境が悪化し、水産資源は重大な影響をうけつつある。
 生態系を守るためにも、埋め立てを規制し植林を拡大し、過剰な国土開発を規制し、未来の海を豊かに美しく守る努力が必要である。

3・釣り文化の創造


3・釣り文化の創造(図-3) 「文化」は英語でカルチャーというが、その語源をさぐれば「耕す」からきている。
 人類がほかの動物と異なるのは、自然に働きかけてそれをかえ、自らの暮らしを豊かにすることである。
 これが文化のおこりである。
 文化人類学の父といわれる19世紀の英国の学者エドワード・タイラーは「文化」について次のように定義した。
 「知識、信仰、芸術、法律、風習、その他社会の成員としての人間によって獲得された、あらゆる能力や習慣を含む複合体の全体である」
 「釣り文化」は、人間によって獲得された釣りに関するあらゆる能力や習慣を含む複合体ということもできよう。
 それは漁業者の行う生産または産業としての釣り漁業(一本釣り、曳き網、延縄など)文化と異なり、レジャー、スポーツとしての釣り文化である。
 古来から釣りには「健・忍・寛・尚・楽」の五徳があるとされ、体によく、忍耐と寛容の心を育て、高尚なる精神を導き、人生を楽しませてくれる。
 釣り文化を創造するためには“海を耕す”歴史に学び、自然と共存する循環型社会をめざすことは当然のことといえよう。
 そのためには釣り環境を守り、放流事業を行い、沿岸漁民との共生を心がけ、釣りマナーの向上を心掛けるべきである。
 また、健全なレジャーとしての釣りを行うためにも、安心、安全を第一とし、21世紀にふさわしい釣り文化を多くの釣りを愛好する人々と創造していくことが望まれる。

4・循環型社会をめざす 釣りエサ文化の創造



5・磯焼けの現状


5・磯焼けの現状(図-5) 「磯焼け」という言葉は海藻学の権威である遠藤吉三郎博士が静岡県伊豆東海岸のテングサ、アラメ、カジメ漁場が、平年より4~5℃高い黒潮が蛇行接近し、海藻類を荒廃させたのをみて、漁民の言葉で「磯焼け」を引用したものである。
 遠藤博士の定義は次の通りである「ある特別な沿岸の一地域を限って、そこに産する海藻の全部または一部が枯死して不毛となり、有用海藻は無論、これによって生息するアワビ、磯付き魚などの収穫を減じ、あるいはこれを失い、そのため漁村が疲弊すること」とした。
 伊豆地方ではアラメ、カジメの枯死であるが他の地方ではコンブ、ホンダワラ、ワカメ、アマモなどが何らかの原因で、その海藻が枯死・消滅し、かわって石灰藻と呼ばれるサンゴモ(紅藻類)が海底に占有され、岩盤が白色などを呈し、有用海藻消失による漁獲減、漁村の疲弊することである。
 なぜ、定義を明らかにしたかというと、私が最近半年ばかり住んでいる沖縄県で、海藻の少なくなった沖縄県の一部を“磯焼け”と講演したところ、地元の研究者から「沖縄にはサンゴモがないから磯焼けがない」と発言があったからである。
 磯焼けの原因には、環境説、食害説、生態系破壊説などがあるが、その中で大きな影響をもつのが次の3つである。
・水温上昇(黒潮)
・生態系破壊(特に赤泥、粘土、農薬、合成洗剤の流入、コンクリート構造物)
・食害(ウニ、ハリセンボンなど藻食魚(93種類)による幼芽の食害)
(※「磯焼けの海を救う」社団法人農山漁村文化協会発行 参照)

6・磯焼け対策とエサづくり


6・磯焼け対策とエサづくり(図-6) 自然界におけるマルキユー配合エサの分解のしくみを示したものが(図-7)である。
 海に撒かれた釣りエサの多くは、お魚に食べられる。さらに、お魚が食べ残したエサはカニ・タコ・ウニ・ゴカイ・貝類・ヒトデなどが食べる。さらに、バクテリアが小動物が食べ残したエサや、生物の死骸、排泄物などの有機物を30%は自分の体内に蓄え、残り70%は無機物である窒素やリン・カリなどの植物プランクトンや海藻の栄養となる栄養塩に分解される。
 植物プランクトンや海藻は、光合成によって水と二酸化炭素・栄養塩などの無機物から有機物にかえる働きによって自然の循環サイクルを作る。
 海の生物は、他の生物を食べることによって生活していますが、このような関係を「エルトンの食物連鎖ピラミッド構造」といい、植物プランクトン・海藻が基礎となっている。
 マルキユーの配合エサに使用している原料はサナギ・オカラ・オキアミ・小麦・コンブなど天然および食品素材100%の原料を用いた安心安全な釣りエサである。お魚が食べ残したエサは、海底の小動物が食べ、さらにその残りを微生物が食べ栄養として自然のサイクルへ循環する。

まとめ


 マルキユーは、環境の21世紀における自然循環型社会に向けた「釣り文化の創造」を目標として、地球にやさしい釣りエサの開発に日夜研究努力を続けている。とくに、配合エサについてはプロジェクトチームを作り、外海域や閉鎖系内湾域に応じた配合エサの開発などの努力を積み重ね、海底に食べ残しのエサが堆積しないように、お魚の好む分解菌、酵素、ミネラルなどを配合エサに添加し、分解の促進を進めるなどの工夫をしている。
 私も、地球環境問題を重視したマルキユーの「釣り文化の創造」の理念に深く共鳴するとともに、微力ながら共に研究開発への努力を積み重ねたい。

自然界における釣りエサの分解のしくみ

自然界における配合エサは自然のサイクルの中へ
 魚が大好きなマルキユーの釣りエサ。海に撒かれた釣りエサの多くは魚に食べられます。魚が食べ残したエサは海底の小動物が食べ、さらにその残りを微生物が食べます。 釣りエサの大部分は有機物でできており、これが微生物の食料になるのです。 微生物はエサに含まれている有機物を食べて無機物に変えてしまいます。この無機物の一部は「栄養塩」として海にとけ出します。この栄養塩と海水にとけている二酸化炭素、そして太陽の光を使って植物プランクトンや海藻は成長し、増えます。植物プランクトンや海藻が増えると、魚や海底の小動物が増え、結果として豊かな海をつくるのです。 このようにマルキユーの釣りエサは自然のサイクルにスムーズに組み込まれていきます。 マルキユーの釣りエサは天然及び食品素材100%の原料で作られているので、海底の小動物や微生物にとっても栄養になり、しかも安全なエサなのです。

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