マルキユー研究開発室では、釣りエサの海および河川湖沼の自然界における分解過程の基礎研究を行うことにより環境の世紀といわれる21世紀にふさわしい自然循環型の釣りエサ研究開発を継続して行っています。
海にはわれわれが目でみることのできる魚介類や、大型海藻、フジツボ、ムラサキイガイ等大型付着生物が約4000種類も生息しているほか、肉眼で見ることのできない微生物が海水1立方メートルあたり約100万個も生息しています。
海水には魚介類やプランクトンの死骸などのタンパク質や脂肪分を分解する「分解酵素」が含まれ、その結果プランクトンや、微細な海洋生物のエサや、海藻の肥料などとなって還元され海水の浄化装置の役割を果たしています。また、海水には100を越す微量ミネラルが含まれ助酵素の役割を果たしています。
マルキユー「チヌパワー」の海の釣り場である磯場での分解過程の試験を行ったのが次の写真(1)~(4)です。「チヌパワー」に配合されているコーボ、煎りぬかなどの原料は崩壊・分解してしまい1日目で観察できなくなります。後に残った押し麦も微生物や小動物によって食べられて14日目には観察できなくなってしまいます。これらのことから「チヌパワー」は魚に食べられなくても海中の微生物や小動物によって分解されることがわかります。
SEM(電子顕微鏡)写真解説
釣りエサ用押し麦の海中での分解性評価について
海水浸漬(1・2・3・5・7・10日)試料のSEM(電子顕微鏡)による観察の結果、押し麦の分解は、まず胚乳の表層部の分解が起こり、次いで内部のデンプン粒子の分解へと進んでいく。分解の速さは、胚乳の表層部の分解が律速だと考えられる。SEM写真から胚乳表層部の分解は浸漬後2~3日以降に起こり始めているのが認められる。表層部の分解が起こると、内部デンプン粒子がむきだしとなり、徐々に分解が進行していく。7日から10日で内部のデンプン粒子の大半が分解しているのが認められた。
※協力:SEM(電子顕微鏡)写真/
東京水産大学教授 工学博士 兼廣春之・実験場所:静岡県下田市外浦港いなり丸(敬称略・順不同)