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MARUKYU エコレポート
「ハゼほたて」開発秘話

 2022年一部地域テスト販売を経て、2023年6月に、念願にして当社初となるハゼ専用エサ「ハゼほたて」を全国販売することができました。
 東京湾を中心にファミリー層から熟年層に根強い人気を誇るマハゼを対象とした製品開発は長年行ってきました。長年の思いを実現するアイデアが生まれたのは、シーズンになるとハゼ釣りに通う社員とのちょっとした会話からでした。
 「ボイルホタテを使用してハゼ釣りを楽しむ人が都内にいる」そう囁かれたことをきっかけに、私は早急に情報収集を開始しました。都内に住んでいる社員や釣り場近くの販売店様へのヒアリング、ネットでの情報収集、そして実際に現場視察を行うことで、ホタテを使用したハゼ釣りの可能性の大きさに確信を持ちました。
 東京湾近郊以外でマハゼを狙われる方々は、ハゼ釣りといえば生きたイソメを使用し、投げ釣りの要領で狙うスタイルを想像するかと思います。しかしながら、東京湾近郊、詳しく地名をあげると江東区や墨田区などでは、住宅地まで汽水の運河が張り巡らされており、マンション下の運河に行けば、足元すぐそばに仕掛けを垂らすとマハゼが非常に多く生息する豊かな環境があるのです。そのような環境なので、延べ竿を手持ちしミャク釣りにてマハゼ釣りを楽しむ家族連れの姿が多く見られます。人が住む街の中で、気が向いたときすぐそばの運河で手軽に釣りを楽しむという、微笑ましい情景の中にマッチするエサを開発できないものかという思いがこの「ハゼほたて」には詰まっています。
 では、具体的にはどのような姿をゴールにし て製品開発を進めればよいのでしょうか?“前提としてよく釣れる”“「いつでもどこでも」を叶えてくれる”“初心者でもハリ付けしやすい”など様々な意見が飛び交う中で、「ボイルホタテが釣れるならそれを常温化して保存できるようにしたら釣りエサとして有効ではないか?」という声が研究室内であがりました。
 当時、生エサの常温化技術の開発に打ち込んでいたS研究員に相談し、ホタテの貝柱を常温保存できるというコンセプトで数多くの試作品を作成。もちろん常温保存の技術のハードルは非常に高く流通可能なスペックにはなかなか仕上がりませんでした。途中、常温保存へのハードルの高さを痛感し、ホタテの貝柱ではなくまた別の方向で需要を満たす製品ができないものかとあらゆる可能性を試してみましたが、「ハゼはグルメ」と言われているように魚に気に入ってもらえるエサにはなりません。一刻も早く、製品をリリースしたいという強い思いに立ち返り、ホタテ常温保存化のハードルを越えることに集中することを決意しました。原料ホタテの選定や加工のプロセスを細部まで調整し、釣り場での実釣テストを重ねた結果、「ハゼほたて」の原型が完成しました。
 “よく釣れること”当然これが一番ですが、特筆すべき点は“常温保存製品なのに生エサのような活きのよさがあること”、“繊維がしっかりとしていてエサ持ちがよいこと”、“手にべとつきにくくエサを付けるときにストレスが少ないこと”、という点です。このようなこだわりを持たせつつ、厳しい保存テストをクリアするレシピを見つけることができました。
 また、「ハゼほたて」は今まで参入してこなかった市場向けとなる商材でしたので、現場テストは我々研究員だけでなく、ハゼ釣りが好きな社員や営業担当の社員など様々な分野の方が立ち会いました。この結果、「これは釣れる!」「面白い!」という意見ばかりでした。しかし、面白いだけで販売はできません。実際に販売に向けて意見交換の場では喧々諤々の議論がありました。
 「釣れるエサではあるが、内容量と価格のバランスで市場に受け入れられるか?」、「そもそもホタテエサの市場規模はどれくらいあるのか?」など不安が残ることとなりました。協議の結果すぐに本販売化はせず、2022年のシーズンは東京エリアに限定しテスト販売をして市場状況を確認してみようということになりました。そしてテスト販売の結果、これまでの議論は杞憂に過ぎなかったと実感しております。ご購入いただきましたお客様からの予想を超える高評価の声をいただき、2023年の全国販売が決定する運びとなりました。
 さて、ここまでは「ハゼほたて」が全国販売するまでのストーリーを述べさせていただきましたが、実のところこの「ハゼほたて」全国販売のゴールまでには工場での生産という一番高いハードルがあることを皆様にご理解いただきたいと思います。
 テスト販売時には、当然少量生産となりましたので研究室にて手作業で作った「ハゼほたて」を流通に乗せていました。しかしながら本販売化が決定すると、手作業による生産では全く間に合わない数量となりますので、工場の生産ラインを用いた製造をクリアしなくてはなりません。工場での生産がスムーズにクリアできたのは長年様々なジャンルの製品の生産に携わり、生産技術をブラッシュアップ、伝承し続けてくれた生産部員の協力がなければ成り立たなかったでしょう。
 ご購入いただきました皆様には感謝の念に堪えません。本販売の2023年は前年テスト販売の前評判もあり、予注の段階で想定していた数量が完売してしまいましたこと心よりお詫び申し上げます。2024年シーズンは販売可能数量を底上げし、より多くのお客様へ「ハゼほたて」をお届けできるように頑張って参ります。

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