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川原直毅の「練りエサ釣法」
「練りエサ釣法」が磯で威力を発揮するのは…
練りエサのハリ付けの工夫
「練りエサ釣法」専用のマキエ作り
「練りエサ釣法」の釣り方
マルキュー・チヌ
インストラクター
川原直毅
「練りエサ釣法」が磯で威力を発揮するのは…
チヌが雑食性の大食漢であることはよく知られていますが、四季を通して付けエサとして使われるエサは圧倒的にオキアミです。しかし、万能エサであるオキアミも通用しなくなる時期があります。
シーズン的にみると、乗っ込み終盤ごろから徐々に水温が上昇しはじめ、梅雨末期にかけて水温が20℃を越えてくると、エサ取りの活性はいちだんと高まります。
一方、チヌの方はカイズクラスが日中釣れるものの、良型チヌは快適な適水温のタナや朝夕のまずめ時や半夜釣りにその魚信が集中することが多くなります。
いわゆる盛夏から仲秋のチヌ釣りはエサ取り対策がメインとなり、釣り人の創意工夫はなんとかチヌの口元にエサを運ぼうと付けエサのガードに集中します。たとえば、地域によっては「チヌマック」「ネリックス」「生さなぎ」釣法によってはスイカ、ボケなどが使われる所もあります。
もともと付けエサに練りエサを使うチヌ釣りは、私が九州で釣りをしていた25年前ぐらいからもありましたが、やはり夏場のトップシーズンだけのものでした。しかし、マルキューで開発された「練りエサ釣法」というのは、付けエサ、マキエともにその釣り専用のものであり、ほぼオールシーズン使用可能です。
私が担当したフィールドテストはおよそ2年間。厳寒期に始まり乗っ込み期、端境期、盛夏、晩秋、初冬すべてのチヌ釣りのエサは練りエサだけでした。そして改良に改良を重ねて、もっとも釣りにくい9〜10月の高水温時に「練りエサ釣法」は威力を発揮しました。
付けエサにオキアミ生、ボイルを使用した場合よりも練りエサ「くわせ練りエサ・チヌ」で釣れるチヌの型は良型ばかり。わずか2時間で30〜47?のチヌを25匹という釣果もありました。
それと同時に「練りエサ釣法」のマキエとなる配合エサ「練りエサ釣法・チヌ」も開発されました。「練りエサ釣法・チヌ」はまったくオキアミを使わず配合エサだけでマキエとなる画期的なものです。チヌが好むエサを4種類の粒にしてオキアミの沈下速度と同調させやすいように開発されました。
4種類の粒は、
1.エサ取り対策用の粒、
2.集魚力を増強する粒、
3.チヌの食いを高める粒、
4.オキアミと同様の効果を持たせる粒からなります。また、この粒はきわめて速く溶けるのでチヌの食いが持続するという実釣結果を得ました。
マキエに対するチヌの反応も速く、釣り上げたチヌのお腹の中を開けてみると、この4種類の粒がぎっしり入っていることがわかりました。練りエサのエキスがジワジワと溶けだし、この持続的なダンゴのバラケが大型チヌにはなぜか効果的なようです。
練りエサのハリ付けの工夫
練りエサの付け方パターン
標準的
流れがある時
バラケを早くする時
バラケを重視する時
エサ取りが多い時
パチンコ玉2個分位の大きさにする時もある
練りエサのハリ付け方にはいくつかのパターンがあると思います。標準的な付け方はハリをまんべんなく隠し練りエサを釣鐘状にしたもの、練りエサのバラケをよくするために角を付けたりもします。私はチヌバリ1〜2号に練りエサをパチンコ玉よりやや小さめに付けています。
これまでの実釣経験では、高水温時は全体的に硬めでもチヌは食ってきました。これに対して低水温時は練りエサは軟らかめが食いがいいようです。練りエサの大きさは、エサ取りが多い時はパチンコ玉ぐらいの大きさを目安として、水深のある釣り場ではハリ持ちをよくするために2コ分ぐらいを付けます。
また、エサ取りが多い場合は少々硬めの練りエサをハリに付けますが、水温が低い場合やチヌの食いが渋い場合は海水や付けエサのオキアミを少し加えて練りエサを練り直し、よくもみほぐして付けるといいでしょう。
「練りエサ釣法」専用のマキエ作り
●
練りエサ釣法・チヌ
単品のマキエ
「練りエサ釣法・チヌ」1袋をバッカンへ入れる。
袋の裏面に水量線が表示されているので、1袋に対して2500ccの海水を用意する。
2500ccの海水をバッカンに注ぐ。
そして、マキエブレンダーを使って全体がなじむように混ぜ合わせる。
「練りエサ釣法・チヌ」のマキエはかなりネバリがでるので、若干ボソボソに仕上げるようにしている。
●
「練りエサ釣法・チヌ」を使ったマキエ作りの応用例
「練りエサ釣法・チヌ」1袋をバッカンに入れ、さらに「オカラだんご」1/2袋を入れる。「オカラだんご」は1袋いっぺんに入れずに、残りはマキエのネバリや硬さの調整のために使う。
「チヌドリップ」1袋を入れる。
「チヌドリップ」は袋の底に集魚効果の高い貝類などの固形物が残るので、袋に海水を入れこれらもマキエに入れる。そして、マキエブレンダーを使って全体がなじむように混ぜ合わせる。
濃縮集魚エキス「チヌにこれだ!!」1本を加えて、マキエブレンダーを使って全体がなじむように混ぜ合わせればできあがり。
○「練りエサ釣法・チヌ」単品の場合
「練りエサ釣法・チヌ」を単品で使用する場合は、1袋に対して空パッケージの水量線2500ccが目安。海水を加えてまんべんなく混ぜ、均一なマキエができるようにすることです。出来上がったマキエはかなりネバリが出るので、ヒシャク離れをよくするため若干ボソボソに仕上げておくのもいいでしょう。
エサ取りがそれほど気にならないときは、半日釣りの場合は「練りエサ釣法・チヌ」2袋あればじゅうぶんです。
○「練りエサ釣法・チヌ」の応用例
「練りエサ釣法・チヌ」とオキアミや他の配合エサとの組合せによってチヌを攻略する場合のパターン例を紹介しましょう。「練りエサ釣法・チヌ」だけではなんとなく心細いという釣り人は、オキアミ3kgをブレンド。この場合、オキアミは原型をそのまま残すよりもマキエブレンダーなどで小さくスライスして、チヌの食いを持続させるようにします。
マキエの固さは空パッケージの水量線1000ccを目安とします。遠投ポイントやエサ取り分断には「練りエサ釣法・チヌ」1袋、「チヌパワームギ」1/2袋、「オカラだんご」1/2〜1袋などが効果的です。「練りエサ釣法・チヌ」に海水を加えて耳たぶぐらいの軟らかさにして「オカラだんご」を少しずつ加えて硬さを調整します。「オカラだんご」は時間が経つとマキエ全体がしまってきます。若干軟らかく仕上げておくといいでしょう。
また、本流や潮目狙いには「練りエサ釣法・チヌ」1袋に「チヌパワーV9」、「チヌパワーV9遠投」を配合します。マキエの拡散性、潮なじみがいいようです。
ここに紹介したマキエのパターンはほんの一例です。目下、私は「練りエサ釣法・チヌ」に「チヌドリップ」、「アミドリップ」などをブレンドしてチヌ釣りを楽しんでいます。
「練りエサ釣法」の釣り方
○こんな仕掛けで
付けエサに「くわせ練りエサ・チヌ」を使用すると、特にウキの浮力が気になります。上図に示したように、私の仕掛けではチヌバリ1号、ウェイトスイベル―G7を使います。これに「練りエサ」を使用すると、ウキはGT―EXのBサイズがぴったりとフィットします。
GT―EXのサイズBは残存浮力がガン玉のBしかありません。「練りエサ」をチヌバリに付けた真水の状態ではウキトップで2〜3cm程度出ます。海水ではウキトップがそれよりもやや出ることになりますから、ハリスにガン玉の5〜6号を1コ打てばシブシブ状態になります。そうすると、付けエサの「練りエサ」がなくなるとウキトップが自動的に海面に出てくることになります。
○ウキ下の取り方
チヌ釣りではその日のチヌのタナをいち早く見つけることが、釣果を左右することにもなります。ある時は中層でチヌが食ったり、底で食ったりとなかなかタナを設定するのは容易ではありません。そのため、グレ釣りの要領でウキ止めを付けずにスルスル仕掛けで狙う釣り人も多いようです。
しかし、「練りエサ釣法」では専用のマキエがあります。また、私のように水中ウキを多用する釣り人もかなりいるようです。基本的にウキ下はオキアミを付けエサにした時と同じです。緩やかな本流の中ではチヌもマキエにつられて浮いてきて、付けエサの「練りエサ」を食います。また、潮があまり動かない所では底やカケ下がりとなっている所をはわせることによって、チヌに追い食いさせる攻め方もお薦めします。
私は初めての釣り場では、必ずマルチ水温計で表水温を計ってひとまず仕掛けを流すタナを設定します。たとえば17℃、水深が11mならばウキ下は4ヒロからという具合です。
○アタリとアワセ
▼中層の場合
▼底はわせ状態の場合
○アタリとアワセ
「練りエサ」を使用したときにいちばん気になるのが、ウキに出るアタリとアワセのタイミングです。潮流に仕掛けがなじんでウキにアタリが出ると、ウキがゆっくりと海中に消し込まれますが、ウキトップが海面下にあってもじっとしている場合は、いつアワセていいのか判断しかねます。
ベテランになれば、ウキが見えなくなるまで待って竿先が動いてからアワセてちょうどいいと言います。「練りエサ」はそれぐらいじっくりと食わせる釣りであるということかもしれませんが、これも時期やチヌの活性の有無によると思われます。
活性の高い時期は、ウキが消し込んで一呼吸おいてアワセてもばっちりハリ掛かりしていることもあれば、皮一枚のときもあります。当然、スッポ抜けする場合もあります。このような時はほんの少しウキ下を深くします。
もっとも、ウキに前アタリがあったからといってここでアワセは禁物です。やはりウキが消し込まれ、なおかつ沈んでいるウキが加速しはじめてから私はアワセをして
います。また、アワセをするときは道糸の糸フケを取り、しっかりハリ掛かりするようにします。
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