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ダンゴ釣り特集 紀州釣り・かかり釣り |
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スペシャルトーク
山本太郎の「紀州釣り」
これで、紀州釣りがグンと身近になった |
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オモシロイから熱くなれる!
大西 満の「チヌ・かかり釣り Q&A」 |
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チヌかかり釣り
工藤昇司の攻めて、攻めて、釣る!
新兵器「やわらかダンゴ」の魔力! |
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エッセイ
エド山口の釣り伝道師が征く
「関東ダゴチン釣り」の巻 |
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チヌ・かかり釣り |
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工藤昇司の新兵器
「やわらかダンゴ」の魔力 |
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工藤 昇司
くどう しょうじ
1951年徳島県生まれ。現在は大阪市在住。チヌ竿「笥」(ツカサ)を製作。かかりのチヌ釣り一筋に数釣りを得意とする一方、大型指向でもある。TV番組「フィッシングライフ」チヌかかり釣りレポーターとして活躍中。東レフィールドスタッフ、がまかつフィールドテスター、マルキューインストラクター。 |
攻めて、攻めて、釣る! |
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チヌをピンポイントに寄せる
新開発!「やわらかダンゴ」のチカラ |
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「やわらかダンゴ」の
メリットはこんなに沢山ある! |
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スムーズなエサ抜けが
ダンゴのやわらかさの目安に! |
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エサ取りの活性を見ながら
ダンゴの硬軟や付けエサを選ぶ |
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チヌをピンポイントに寄せる
新開発!「やわらかダンゴ」のチカラ |
今回、新発売された「やわらかダンゴ」はその名前のとおり、ペトペトのやわらかダンゴ用に特別に開発されたものです。
これまでは「大チヌスペシャル」や「深場大チヌ」をベースに「チヌパワー」で粘りを出して、ペトペトの柔らかいダンゴを作っていましたが、この「やわらかダンゴ」はこれまでにない高比重を図ったことで、打ち返しのスピードアップと速い流れでの釣りを可能にしてくれました。
しかも、沈んでいく途中でのダンゴの周囲からのバラケを少なくしたことで、着底までダンゴが小さくなりません。このことから、深場でも卵大ほどの小さなダンゴを使うことができ、よりピンポイントにチヌを寄せることができるのです。
このため、一見、粘りが強過ぎるように感じるかもしれませんが、ダンゴからのエサ抜けは抜群にスムーズに仕上がっています。水の調整をうまくすれば、カキなどのエサ持ちの悪い身エサでも「ズルズル」という感触で抜くことができるほどです。
比重が大きいことによるメリットは沈みが速いということだけでなく、潮の速さに負けない、ということなのです。そのために、これまでのダンゴに比べると潮に流されることが少なく、より足元のポイントにチヌを寄せることができるようになっています。
わたしは一年のうちで夏場から初秋のエサ取りの多い時期を除くと、ほとんどをペトペトのやわらかダンゴを使っていますが、その理由は“扱いが簡単で、打ち返しが早い”からなのです。 |
「やわらかダンゴ」の
メリットはこんなに沢山ある! |
では、固いダンゴと比較しながら、“やわらかダンゴはこんなところがいいんだ!”について説明しましょう。
水分の少ないパサパサからボソタッチの固いダンゴの場合は着底後のバラケ具合の調整をするために握り加減を微妙に調整しなければなりませんが、これが慣れないとなかなか難しいものなのです。少し握り過ぎてしまうと着底後もなかなか割れないということになってしまいますし、無理に抜くとハリから付けエサが外れてしまいます。
ところが、“やわらかダンゴ”の場合は丸めるだけなので握り加減などは不要で、しかも、この丸めるという操作を片手だけで行うことができるところに最大のメリットがあるのです。
つまり、固いダンゴは両手で握らなければならないので、その都度、両手を洗わなければなりませんが、片手で丸めるだけのペトペトのやわらかいダンゴの場合は、片手を洗うだけでよいので竿を持つ手を汚しません。
このことは、打ち返しのスピードアップにもつながりますが、手を濡らしたくない冬場のかかり釣りでも重宝します。
つまり、防寒の手袋の使用ができ、ダンゴを握る手にはさらに薄手のビニールの手袋を重ねればダンゴを握ることができるので冷たさを防いでくれます。
この、“手を凍えさせない”というのは非常に大切なことで、肝心なときに手がかじかんでいたのでは、掛けたチヌが大型であれば相手に先手を取られてバラシという憂き目に遭いかねません。
また、利き腕で竿を持って、片方でダンゴを握るスタイルでは一連の動作の流れが非常にスムーズで無駄がないのです。そのため、リズムよく釣りをすることができ、手返し勝負の数釣りやトーナメントなどではやわらかいダンゴが絶対に有利になります。
春の乗っ込みが終わるとシラサエビやオキアミのエサで中・小型チヌの数釣りが楽しめるようになりますが、シラサエビを使う場合はよほどエサ取りの多いときを除いて、ペトペトのやわらかいダンゴの使い勝手がはるかに良いのです。
というのは、固いダンゴに比べるとペトペトのダンゴが簡単に沢山のエビをダンゴに握り込んでいけるからです。卵大のダンゴでも5〜10匹のエビを握り込めるのです。これはトーナメントなどでも寄せ負けしない、という点で絶対に有利になりますし、シラサエビだけでなく弱りやすいボケなどの活エサを弱らせることがありません。また、シラサエビには角があって、固いダンゴの場合には力を入れて握るときにこの角が手のひらに刺さることが多く、これが非常に痛いのです。ところが、やわらかいダンゴでは握り締めないのでこの角が刺さり難いのです。
また、かかり釣りではダンゴの別打ちはチヌを寄せるうえで欠かせないもので、固いダンゴでもボソタッチのものは片手で握り締めることはできますが、中にマキエまでは入れることはよほど器用な人でないとできないでしょう。ところが、やわらかいダンゴではそれが誘いをかけながらでも簡単にできてしまうわけです。
では、割れの違いについてはどうでしょうか。
固いダンゴの場合には握り加減によってダンゴがバラケる時間が決まってしまいますので、そのタイミングをコントロールするのが慣れないと難しいのですが、やわらかいダンゴはバラケる特性が低いので、このタイミングを自由にコントロールすることができます。
つまり、ここぞ、と思うところで付けエサを抜いてやればいいのです。このエサ抜けの良さは落とし込みにも都合がよく、軽いテンションを加えるだけで“スッ!”と抜くことができます。ところが、固いダンゴではこう簡単にはいきません。 |
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1. 弱りやすいシラサエビでも・・・。 |
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2. やわらかダンゴを適量とり、付けエサのシラサエビとマキエ用のシラサエビを5〜10匹ダンゴに入れる。やわらかいダンゴだからシラサエビを活きのよいままで、効果的な攻め方ができる。 |
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3. やわらかダンゴのできあがり。丸めるだけで、むずかしい握り加減は不必要。いたって簡単! |
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スムーズなエサ抜けが
ダンゴのやわらかさの目安に! |
では、実際に「やわらかダンゴ」の使い方について説明しましょう。
普通の場合「やわらかダンゴ」には集魚効果を高めるために「荒びきさなぎ」や「活さなぎミンチ・荒」を加え、これに1500〜1700ccの海水で練りあげます。海水を入れ過ぎるとベチャベチャになって使い物にならなくなってしまいますが、時間とともにかなり締まってくるので、少しやわらかめに仕上げておくのがコツです。後は締まり具合に応じて手水で調整しながら使うようにするとよいでしょう。
やわらかさの目安は自爆しない程度で、しかも海底でスムーズに付けエサが抜けるくらいです。チヌを寄せるまでは少し大き目のダンゴにマキエを包み込んで、打ち返しを重ねていきますが、後は卵大くらいの大きさでよいでしょう。
ダンゴのオケの中からシラサエビやオキアミを一緒に掬い取って、ダンゴを丸めるときに表面に出ている(もしくはくっついている)エビやオキアミを親指でダンゴの中に押し込んである程度丸くしてから付けエサを入れて、ころがすようにして丸めます。「やわらかダンゴ」は粘りがあるので、少し水で手を濡らしておくとサバキがよくなって、ころがしやすくなります。
「やわらかダンゴ」は固いダンゴのように投げ入れると、たちまち割れてしまいますから、カセでは手で、筏ではヒシャクを使って置くようにします。しかし、少し固めのものはソーッと投入すればOKです。
ダンゴが着底すれば、穂先から少し先の部分の道糸をつまんで“クイ、クイ”と手首を返すくらいの軽いテンションでダンゴから付けエサを抜きます。このとき、オキアミのエサが外れたり頭がもげたりするようだと、ダンゴが固すぎるので、打ち水をして調整します。エサ取りが多い時は付けエサができるだけ浮かないように短いストロークで抜くようにします。
ダンゴに付けエサを取られるときは
“プチッ!”という感触があるのでそれで判断でき、ズルズルという感触で抜けるのがベストです。 |
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やわらかいので、ヒシャクを使ってダンゴを落とし込む。 |
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ここぞ、と思うポイントでダンゴから付けエサを抜くことができるのも、やわらかダンゴの特徴であり、攻撃的な攻め方につながる。 |
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エサ取りの活性を見ながら
ダンゴの硬軟や付けエサを選ぶ |
初夏から秋にかけて水温が上がってくると、カワハギなどのエサ取りが多くなってきます。こんな時はダンゴを割るタイミングを遅らせ、チヌがダンゴに寄ってエサ取りが散るタイミングを計るようにします。このときボラがダンゴを突つきにくるときは“ボラ様釣法”が有効です。
エサを抜きにかかると、どうしても付けエサが浮きやすく、その浮いたエサは必ずといってよいほどエサ取りにやられてしまいます。
ですから、エサ取りが多いときはできるだけボラにダンゴを割らせ、エサ取りの活性が高いほどボラがダンゴを突つく時間を長くしていきます。そのために、「やわらかダンゴ」をいくぶん固めにしてボラがダンゴを突つく時間が長くしてやります。こうして、ボラがダンゴを突つく時間が長いほどエサ取りはダンゴから遠巻きになるので、エサ取りに弱いオキアミやシラサエビでもチヌが食ってくる確率が高くなるのです。
エサ取りがさらに多くなってくると「くわせコーン」、「くわせ荒割」や「くわせ練りエサ・チヌ」が有効になってきます。「くわせ練りエサ・チヌ」や「くわせ荒割」などの場合はダンゴに包み込まずにハリス部分に握り付け、潮の速いときにはダンゴをオモリ代りにすることもできます。
ボラが底だけでなく中層で激しくアタックしてダンゴを割ってしまうときは「やわらかダンゴ」を締めて使うことで対処も可能ですが、エサ取りが多いのにボラがダンゴを突つきにこないときがあります。こんなときは固めのバラケ性の良いダンゴを使用し、ダンゴが自然に崩れるようにして付けエサが極力浮かないようにするほうがチヌの釣れる確率が高くなります。
こんなときの対処方法として、「やわらかダンゴ」に「深場大チヌ」や「大チヌスペシャル」に「荒びきさなぎ」をブレンドしてバサバサからボソタッチのダンゴにして使用するといいでしょう。 |