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トーナメント勝利へのキーワード

「大知 豊」
マキエ術

大知 豊 
おおち ゆたか

1952年生まれ。現在広島県大竹市在住。ホームグランドは宮島、阿多田島で、釣歴は17年。得意な釣法は藻際釣法。TEAM・AQA、がまかつ銘竿会、GFG中国。報知グレ釣り選手権第22回、24回準優勝、第25回優勝、'92年GFG杯争奪グレ釣り選手権優勝、'95年G杯争奪全日本がま磯チヌ釣り選手権優勝。第25期、26期報知グレ釣り選手権名人位、'98東レカップグレ釣り選手権準優勝。マルキューインストラクター。

多様な状況に対応可能で
遠投性重視の配合パターンを…
製品ごとの特性を活かし良型グレを中層で狙う想定
試合時のマキエワークと状況に合わせた再調整を…
西瀬戸内でも練りエサが台頭してきています!
ブレンドパターン

多様な状況に対応可能で
遠投性重視の配合パターンを…

 ”マキエの切れ目が釣果の切れ目”とよく言われるように、グレ釣りにおけるマキエの役割は他の何よりも重要です。マキエの配合の調整ミスやマキエワークの失敗は、トーナメントにおいて勝敗に直結しかねません。このため参加選手は、それぞれ使いこなし自信を持ったマキエで試合に臨んでいます。
 私のグレトーナメントでのマキエ作りは、大会会場の状況把握から始まります。近況を船頭や釣行した釣り人から聞いたり、大会前日に前釣りをしたりして、その時にベストマッチした配合のマキエ作りを心がけます。それは、たとえばキープサイズが浮いて数釣れるような場合には比重の軽い配合エサ主体のマキエ、食いが渋く深いタナが想定されるようなら比重の重い配合エサ主体のマキエ、ポイントが遠いようなら遠投がよくできるマキエといった具合です。
 私の標準的なトーナメント時のマキエを紹介しましょう。トーナメントでは時間が限られるため、試合の途中でマキエの大きな作り直しはしにくいものです。そこで、できるだけ多様な状況に対応可能なように、上層から下層までをターゲットにでき遠投性にすぐれた配合パターンでマキエを作っています。
 マキエの1試合使用量が「バッカン1杯」程度の大会規定を想定してください。1日3試合なら、3試合分を事前に作っておきます。

製品ごとの特性を活かし
良型グレを中層で狙う想定

 配合エサは「グレパワースペシャル遠投ふかせ」1袋、「グレパワースペシャル」半袋、「グレパワーV9ライト」半袋。これにオキアミ生、オキアミボイル(小粒)、アミエビをそれぞれ1.5kgを混ぜます。
 マキエ作りは試合の前日夜に行います。このほうが配合エサと生エサがよくなじみ、海中で理想的なスロープを作るからです。オキアミ生は7割程度をつぶし、残りはなるべく形が残ったまま混ぜます。ボイルは小粒が入手できないときはよくつぶして混ぜます。ただし、生とは違いボイルは試合直前に混ぜます。水分が配合エサに吸われすぎて、カモメのマキエにならないようにするためです。水は、アミエビから出るのでほとんど加えませんが、試合時にパサパサするようなら現地で調整します。
 このマキエは、少し型の良いグレを中層で食わせることを想定したもので、最も適用範囲が広いと言えるでしょう。比重の軽い「グレパワーV9ライト」が釣り場で広範囲にマキエをアピールし、海中でスロープ状のマキエの層を作る「グレパワースペシャル」が底近くの良型にアピールします。そして、「グレパワースペシャル遠投ふかせ」が、これらのマキエを総括して、釣り人に有利なタナ、磯からの距離で食わせてくれます。

試合時のマキエワークと
状況に合わせた再調整を…

 トーナメント時のマキエワークですが、私のブレンドパターンは、遠投が可能で、よくバラけるのが特徴です。このマキエの特性を生かし、グレの活性が高いようなら足下からバラバラと縦に長く撒きます。そして、マキエの帯の最先端に仕掛けを投入して良型を仕留める”グレを走らせて釣る”のが有効でしょう。しかし、これを長く続けると、やがて沖のポイントも木っ端やエサ取りに占領されます。そこで、釣り座の右側や左側など、複数の場所にポイントを設定し、これらをローテーションして釣っています。
 しかし、いつも理想的にマキエの配合とグレの状況が一致するとは限りません。あらかじめ状況把握をしてマキエを調整したにもかかわらず、思うようにグレが浮いてこない、作ったマキエとタナがうまく一致しないという状況にもしばしば陥ります。
 こんなときは、まず撒き方を変えて対処を試みます。試合中はマキエを作り直す時間が惜しいからです。先の釣り方では、ヒシャクを振り止めマキエを切るように撒きます。これでバラバラと撒くわけですが、深いタナにマキエを効かせるには不利と言えます。そこで、ピンポイントに固まりで撒く、点打ちのスタイルに切り替えます。数杯ウキにかぶせるようにして、マキエの沈下速度を速め、下層で付けエサと一致させるようにするわけです。
 なお、この対処でもだめなら、マキエの再調整をしなければなりません。予備の配合エサの中から比重の重いもの、たとえば「グレパワースペシャル」を追加し、配合パターンを変えていきます。したがって、事前情報をよく調べても、万が一のために比重の異なる配合エサなどを数種類携帯していくのが、上手なマキエ調整のコツです。
 また「グレにこれだ!!」や「活性起爆材・グレ」といった補助エサは、どうしても食ってこないようなときに貴重な一尾を得るのを助け、遠投しなければならないような状況やマキエが水浸しになってしまったときには「パワーレスキュー」が重宝しています。

西瀬戸内でも
練りエサが台頭してきています!

 ところで、近年、私のホームグラウンドの西瀬戸内海では、練りエサで良型グレがよく仕留められるようになりました。これまで練りエサは、養殖イカダのそばのポイントなど、限られた場所で効果的といった印象がありましたが、実際にはどの磯でも非常によく釣れます。
 西瀬戸周辺への釣行時はもっぱら「練りエサ釣法・グレ」をメインにしたマキエ作りを行い、「くわせ練りエサ・グレ」、「くわせ練りエサ・チヌ」を付けエサに使って好釣果を得ています。

 以上が私のトーナメントにおけるマキエ作りです。その時の状況に良くマッチし。かつ対応範囲が広い配合パターンのマキエをあらかじめ準備すること。試合が始まってからは、実際の状況に合わせて再調整できるよう予備エサを準備することなどがポイントと言えそうです。

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